ここ数年、SDGsに関心を寄せ、取り組もうという企業が増えてきました。
国の取り組み推進もより加速してきています。
「長野県SDGs推進企業登録」は2019年4月26日に長野県により創設され、現在1,608の企業が登録しています。宮田村商工会会員企業も8社が登録をしています。
第8回目は「長野システム開発株式会社」です。
取材には、代表取締役の細田隼平さんにご対応いただきました。

1 会社の歴史、概要などを教えて下さい
平成22(2010)年創業。
株式会社インテックでエンジニアを経験したのち、フリーランスとして独立。平成22年に父親が亡くなったことを機に、Uターンして起業することになりました。
WEBサイト制作・WEBマーケティング、システム開発・保守 、ITコンサルティング・IT保守サービス 、OA機器・ソフトウェア販売 などを行っています。また、宮田村内6企業で出資し作られた一般社団法人MIYADA村人TERRACEにも参画し、地域活性事業を行い売上を村に還元する活動にも従事しています。
2 「長野県SDGs推進企業」認定はいつですか
2020年5月に認定されました。元々、所属していた駒ケ根青年会議所の活動として、SDGs推進の取り組みに関わっていたので、自身も取り組まなければいけないと感じていました。
3 SDGsに向けた経営方針は
弊社の経営理念である「世界中の人々が必要な時に必要な情報を使えるようにする」は、SDGsの達成に必要不可欠であり、社員一人ひとりがリーダーシップを発揮し、経営理念の実現に向けた行動をしていくことにより、SDGsの達成に貢献していきます。
4 重点的な取組みについてお伺いします
(1) 重点的な取組1
「CMMIレベル3の取得」
CMMIレベルとは、ソフトウェア開発組織及びプロジェクトのプロセスの成熟度レベルのことです。弊社はレベル3の取得に向けて社内整備を進めています。最高基準のレベル5に達するのは、世界や日本のトップクラスの企業です。弊社もレベル5への到達を目指します。
ソフトウエア業は、ここ30年くらいの業界なので、標準化する文化が育っていない環境があります。指針に乗っ取ることで、以下のような効果を実感しています。
・失敗からの反復ができるようになり、見積りやスケジュール感の精度が高まる。
・属人的ではなく定義していけるようになり、結果失敗しづらい環境になる。
・体系化していくことで、企業がスケールしていくことができる。
・クライアントへの説得力になる。

(2) 重点的な取組2
「外国人労働者との対話を通して、労働環境の改善を実現する」
弊社では、海外のエンジニアと外注パートナーとして連携しています。CMMIとも関わってきますが、プロジェクトが終わる都度ごとに反省会もしています。遅れた部分の理由や今後どうしていくのがいいか話すようにしています。そうすることで、プロジェクトを無理なく進めていくことができます。ベトナムのエンジニアと主に連携しています。現地に日本語とベトナム語を話せるコミュニケーターがいて、その方を通して仕事のやりとりを行います。
30歳の時に、マイクロソフト主催のコンテストで日本2位になりました。その時、人生初の海外でもあったのですが、アメリカのシアトルにいきました。英語でのやりとりも含めて、海外と仕事をする意識が覚醒したように思います。
その後も一般社団法人駒ヶ根青年会議所(JCI駒ヶ根)の活動で、海外に行く機会が多数あり、インドをはじめ諸国で名刺交換する機会を持ち、そのつながりからビジネス関係を築いてきました。
今までの経験や対話を通して、国内には技術者が足りないので、海外と連携する現状があると自覚しています。
(3) 重点的な取組3
「自社プロダクト開発による、社会のペーパーレス化の推進」
自社開発のホテル向けコンシェルジュサービス『はまかんざし』は、ペーパーレス化の取り組みのひとつです。多言語対応機能にも対応し、お食事・ドリンクのオーダーはもちろん、ルームサービスなどほぼ全てのことが可能です。また、ホテル側から「イベント」 「割引」 など、さまざまな情報を端末で表示できるので、デジタルサイネージ(電子広告)の表示機としても多様なサービス展開が可能です。
5 重点的な取り組み以外でこれという取り組みがあったら教えて下さい
社としては、DX認定制度に取り組もうとしていたり、社内の省エネを意識しています。また、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)を取得し、規定に基づいた社員教育を行っています。
6 ビジネス的なメリットを教えて下さい
2014年頃、SDGsの前段である、MDGsの推進に関わっていました。国連の会議に出席させてもらったりしているなかで、ビジネスにつながっていく潮流を感じたこともあり、SDGsをいち早く取り入れることにしました。今後、グロース市場の上場を目指しているなかで、資金調達のメリットがでてくると思っています。
<取材して印象に残ったこと>
長野システム株式会社様は地域内でITという領域で先駆者的なポジションを取られており、自社プロダクトに拘らず地域のDX化に寄与されていらっしゃいました。自社の中長期的なビジョンと地域をしっかりと連動されている姿がとても印象的でした。