2023年04月18日
  • SDGs推進企業紹介【連載】

「長野県SDGs推進企業」訪問(第5回/株式会社南田建設)

ここ数年、SDGsに関心を寄せ、取り組もうという企業が増えてきました。
国の取り組み推進もより加速してきています。
「長野県SDGs推進企業登録」は2019年4月26日に長野県により創設され、現在1,608の企業が登録しています。宮田村商工会会員企業も8社が登録をしています。

第5回目は「株式会社南田建設」です。

取材には、総括部長の平澤成己さんにご対応いただきました。

株式会社南田建設の平澤成己さん

1 会社の歴史、概要などを教えて下さい

昭和41(1966)年創業、昭和52(1982)年に有限会社として法人化し、平成9(1997)年に株式会社南田建設に変更し現在に至ります。2代目に私、平澤成己が就任し、現在は妻の平澤澄子が代表を務めています。
私たちは、土木建築、造園業、上下水道を主として行っています。地域に密着した建設会社は、各市町村にとって必要な業種だと考えています。創業した当時、宮田村には2社ほど大きい会社があったと聞いていますが、廃業されていくなかで、先代の父が独立して南田建設を興しました。

2 「長野県SDGs推進企業」認定はいつですか

2022年1月に認定されました。当初ISOの認定を受けていましたが、建設業の業態に合わせると、従業員とともに更新をしていくことが大変で、改善も試みましたが継続が難しい状況がありました。そんな時にSDGsに出会い、持続可能な社会というコンセプトに共鳴して、SDGsを基準に経営方針を考え直すことにしました。調べていくと、新しいことを始めなくても、今までやってきたことがSDGsの項目に当てはまっていることがわかったので、社内文化を明文化していったイメージです。

事務所の壁に貼られているSDGs達成に向けた経営方針

3 SDGsに向けた経営方針は

弊社の経営理念である「お客様の納得できる製品」「作って良かったという製品」を継続的に提供できる様、全社員が正確、確実に役割を果たすことによりSDGsの達成に貢献していきたいと考えています。

地域の皆様に愛され信用される社風と、常に品質方針に沿った製品を提供しSDGs達成に向けた重点的な取り組みを行います。

4 重点的な取組みについてお伺いします

(1) 重点的な取組1

「燃料使用量の削減」
2030年に向けた指標:売上に対する燃料費の3%削減

建設業は、大きな重機を用い燃料を使う機会が多いです。もちろん売り上げが上がるほどに、重機の稼働率が上がるので、燃料は増えてしまいます。そんな中でも、従業員個人の意識付けから取り組んできました。アイドリングを減らしたり、暖房器具を短時間にしたり。燃料費の高騰により、使用量を削減したとしても経費削減は難しい状況もありましたが、そんな中でもこの1年間は目標を達成しました。1人ひとりが意識すると少しずつでも減っていくことは実感しています。

(2) 重点的な取組2

「災害発生時における地域インフラの復旧・維持、除雪への対応」
2030年に向けた指標:出動要請に対し80%以上の対応

「出動要請に対し80%以上の対応」を目標としてきて、達成してきています。どうしても対応できないこともありますが、10回オファーがきたら8回は受けられる体制です。
具体的には、大雨、大雪の時に出動して、まずは応急処置をします。2022年の事例では、大雨の時に村内の林道に流れ込んだ土砂を除去し、通行できるようにしました。決壊したところは土嚢を積み、迂回するための林道を開けました。
除雪は、村内建設会社で持ち回りが決まっています。通学・通勤時間までにやらなければいけないので、天気予報を見て待機し、夜中の3時くらいから対応することもあります。雪が降り続ければ、状況によっては深夜まで、又は一晩中除雪作業に当たる場合もあります。それ以外にも、民間事業者の駐車場の委託を受けているので、その対応もあります。
災害時は、人間の手ではできないことがたくさんあるので、わたしたちのように専用重機を持っている業者の役割となっています。

(3) 重点的な取組3

「地元取引業者を使った資材等の購入」
2030年に向けた指標:地元率60%

「地域に貢献する企業」を掲げていることもあり、資材の取引先は、村内を中心に上伊那郡内でまかなえるようにしています。建設業は下請け制度がはっきりしているので、元請として弊社が請け、その先の発注をできるだけ近くの業者さんで回せるようにしています。
特に、資材はネットで購入すれば安い場合もありますが、意識して地元業者から仕入れます。ただ、いつも一緒にやりすぎるとお互いに甘えがでてしまうこともあるので、たまには外部を使って風をいれるなどし、地域と外部とのバランスをとって、やり取りを進める必要があると思っています。

5 重点的な取り組み以外でこれという取り組みがあったら教えて下さい

事務所の照明をLEDにするなど省エネ化に取り組んでいます。急激に変えていくと社内での合意形成が難しくなるので、やんわりと変えていきたいです。まずは、新しいことよりも今までやってきたことを見直し、SDGsに取り組んでいきたいと考えています。

6 ビジネス的なメリットを教えて下さい

若干ですが、県の入札で加点されます。また、企業イメージの向上にもなっていると思います。
建設業界は、人材不足、後継者問題をずっと抱えてきています。おそらく今後も建設会社に勤める人は少なくなっていくのではないでしょうか。屋外の仕事が多いので、暑くて、寒くて、現場は本当に大変。また、資格商売なので、何をするにも資格が必要で、さらに資格を増やす傾向にあります。私自身、難しい商売だと自覚をしています。
それでも、ものづくり産業からサービス業へと時代が変遷していくなかで、なくなる仕事ではなく、誰かがやらなければいけない仕事。新しいことをやるよりも、うちは宮田村に必要なんだという意味合いを持ちながら、続けていきたい。村内の同業者も、きっとみなさんそう思っているのではないでしょうか。

<取材して印象に残ったこと>
継続するための負担がとても大きい業界なのだということ、同時に村、そして地域にとって必要な「誰かがやらなければいけない仕事」であるということ。この点を深く理解されていらっしゃる姿が印象的でした。

関連する記事