2021年09月03日
  • SDGs推進企業紹介【連載】

「長野県SDGs推進企業」訪問(第1回/タカノ株式会社 )

ここ数年、SDGsに関心を寄せ、取り組もうという企業が増えてきました。国の取り組み推進もより加速してきています。「長野県SDGs推進企業登録」は2019年4月26日に長野県により創設され、現在972の企業が登録しています。

宮田村商工会会員企業も5社が登録をしていますので、今のところ5回の不定期連載をしていこうと思っています。

第1回目は「タカノ株式会社」です。

タカノ株式会社 本社

 

本社敷地内の庭

 

8月19日午後、今にも降りそうな曇天の中、SDGsということでCO2削減を意識し、徒歩で本社を訪問しました。正門から本社敷地内に入るときれいな庭が目に飛び込んできます。
取材には、専務取締役でTQM推進担当の鷹野力さんとTQM推進室の林千夏さんにご対応いただきました。

林さんと鷹野さん

 

取材では、7つの項目についてお話をお聞きしました。少し長くなりますが、参考になる事例がたくさんありますので、ご覧ください。

1 「長野県SDGs推進企業」認定はいつですか

2020年7月(5期)認定されました。
今まで取り組んできたことをまとめ、申し込みし認定を受けました。SDGs のために何か新しくやったのではなく、やってきたことを分類して17のゴールと169のターゲットに当てはめました。

2 SDGsに向けた経営方針は

「常に高い志を持ち、社会のルールを守り、世の中の変化を見すえ、持続的成長・発展を通じ、豊かな社会の実現に貢献する。」という経営基本理念にのっとり、当社の事業活動にかかわる持続可能な開発目標(17Goals)に向けて、社会から期待されている製品・サービスの提供および社会貢献活動を持続的に行うことを通じ、持続的でより豊かな社会の実現に貢献する。
というものです。

3 重点的な取組みについてお伺いします

(1)重点的な取組1「温室効果ガス排出量の削減」

♪ 2030年の目標はCO2排出量20%減 ♪

CO2排出量目標は2009年の数値から20%減で、2030年には排出量を3.33tにするという目標を持っています。2020年の数値は2.94tとなっていますが、社の建物等も増えているので数値目標は2030年の数値を目標として取り組んでいきます。
環境活動の組織体制もきちんと整っており、2020年には省エネ活動強化が行われています。
省エネ法に基づき、全社で全エネルギー削減という目標を掲げ、数値目標は1年間で4%エネルギー削減となっています。省エネ機器の導入、設備の効率的運用、電力の見える化推進、再生可能エネルギーの活用などの取り組みをしています。
部門ごとの取り組み発表をしており、有効なものは共有化し取り組みを全社に広めています。

《取り組み例1》
例えば、エアコンの室外機の日光が当たらないようにすることで電力消費量が減るということが発表され、全社で取り組んでいる。
《取り組み例2》
2021年には本社棟の電力を「CO2フリー電力」に切り替えており、年間31,343Kwh、14tのCO2削減を実現できそう。
《取り組み例3》
リデュース、リユース、リサイクルに取り組んでいて、具体的には、製品ライフサイクルの視点で、省資源・省エネ・再生材の活用等を考慮した製品開発を行っている。
《取り組み例4》
再資源化率を環境方針・目標に掲げ取り組んでいる。
《取り組み例5》
再生可能エネルギーの利用として、太陽光パネルを設置している。

(2)重点的な取組2「働き方改革による合理化・生産性向上による時短推進」

♪ 2030年の目標は平均労働時間1,800時間 ♪

2030年の目標値を年間平均総労働時間1,800時間としています。
製造部門の縮減に比べ、間接業務(総務部門など)の縮減は難しいですが、
「NHK=無くす、減らす、変える」を常に意識し取り組んでいます。
「働き方改革実現委員会」を設置し、活動を行っています。

《取り組み例》
・製造部門の自動化推進
・業務の電子化の推進
テレワーク、ペーパーレス化、印鑑省略
・現金の取り扱いを無くしていく
・生産性向上のためのDX=改善
・定時日の設定(毎週第2、3、4金曜日)=ノー残業デー

(3)重点的な取組3「工場緑化と地域に開かれた工場施設の推進」

♪ 2030年の目標は緑化優良工場等表彰制度での内閣総理大臣賞受賞 ♪

「ルビーの里」では、地域の高校生がかかわるイベントなどもあり地域の交流の場を目指しています。また、保育園の散歩コースにもなっており、地域に開かれた工場施設となっています。
このような取り組みが評価され、2016年には「日本緑化センター会長賞」を受賞、2019年には「関東経済産業局長賞」を受賞しました。
地域の皆さんのおかげと感謝しています。

ルビーの里 赤そば祭り

 

ルビーの里 赤そば

4 重点的な取り組み以外でこれという取り組みがあったら教えて下さい

一つは、社会貢献として寄附等の実施、災害地域支援ボランティアなどを行っています。
《取り組み例》
・「カレンダープレゼント」への参加
・「ありがとうプロジェクト」への参加
・「フェイスシールドやマスク」の無料提供
・環境ピクニック
・千曲川の災害復旧のボランティア

フェイスシールドを無料提供

テント布端材で作製したバッグ

また、エクステリア部門で出る、テント布の端材を無駄にせず、バッグなど製品にして売るという取り組みもしています。(リユース)

5 組織ではなく個人個人の取り組みはありますか

♪ 個人一人ひとりの意識も高まりつつある ♪

社会貢献の内、「災害ボランティア」と「ありがとうプロジェクト」への参加は、TQM推進室の呼びかけ取りまとめましたが、個人活動となっています。
「ありがとうプロジェクト」は、不用品を回収して海外で売って、海外の子ども達の教育に充てるという取り組みですが、その主催団体にタカノの社員さんの不用品を回収してもらっているというもので、個人の意思による取り組みとなっています。

6 ビジネス的な理由(動機)がありましたら教えて下さい

♪ 企業イメージの向上 ♪

今のところ企業イメージに良いとは考えていますが、ビジネス的なことはまだ具体的な目標をもっていません。しかし、これからの取引には重要になってくるとは思っています。

7 これからの取り組みについて教えて下さい(企業継続とSDGsの関係はなど)

♪ 地域のことも考えながら 循環型の推進を ♪

リサイクル原材料を使うとか、現状より以上に循環できるにして行きたいと考えています。(「リデュース」、「リユース」、「リサイクル」)
サスティナブルになるように会社を変えていくなど、地域のことも視野に入れ、目標を持って進めていこうと思っています。

<取材して印象に残ったこと>

(一つ目)
常に目標に向けて、感謝全体で一人ひとりが考え改善に向けて取り組んでいると感じました。
それを進める内部組織も体制も整っていることが素晴らしいと感じました。
(二つ目)
製造業としては、デジタル化、自動化による生産性の向上と残業を減らすを両立していくことに取り組んでいました。なかなか飛んでいくようにはいかないことですが、改善の積み重ねで常に前進しているところが素晴らしいと感じました。
(三つ目)
間接業務のわかりやすい例として印象に残ったのが社員食堂の自動販売機化です。これは、社員食堂の食券を社員カードで自販機から買えるようにしたというもので、今まで社員が手で行っていた作業が自動化になりました。また、昼食は事前申し込み制にしたので、捨てられる食材も少なくなり、社員食堂の受託業者も無駄がなくなりました。
これは「間接部門の事務効率化」化と「食品ロスの大幅カット」と「食堂受託業者の業務改善」の3ついっしょに実現しているという素晴らしい例だと思います。
(四つ目)
担当者の、「今の子どもたちは授業でSDGsのことを学んでいる。そのような子ども達が将来、就職するときに選ばれるような会社になりたい。」ということばが、印象的でした。

(五つ目)
専務さんから「今まで会社で取り組んできたことを振り返ってみると、既にたくさんのSDGsに合った取り組みをしてきたことがわかりました。」というお話がありましたが、今まで取り組んできたことを明確にすれば、多くの項目がSDGsの項目に当てはまります。宮田村商工会の会員企業さんの中にはすでに登録できるくらいの取り組みをされている企業が多くあるのではないかと感じました。大きな収穫です。

今回取材に対応いただいたお二人には丁寧にご対応いただき、いろいろと教えていただき、大変勉強になりました。感謝を申し上げ、終わりにしたいと思います。

家族ぐるみで 環境ピクニックに参加

(追記)
その他、詳しくは会社HP「CSR活動」のページを見ると参考になります。特にその中の「CSR活動ブログ」はSDGsへの取り組みも載っており、分かりやすく活動がわかりますので、ご覧ください。

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