2023年05月08日
  • SDGs推進企業紹介【連載】

「長野県SDGs推進企業」訪問(第6回/黒河内建設株式会社)

ここ数年、SDGsに関心を寄せ、取り組もうという企業が増えてきました。
国の取り組み推進もより加速してきています。
「長野県SDGs推進企業登録」は2019年4月26日に長野県により創設され、現在1,608の企業が登録しています。宮田村商工会会員企業も8社が登録をしています。

第6回目は「黒河内建設株式会社」です。


取材には、代表取締役社長の黒河内勇雄さん、企画総務部長の伊藤雅一さんにご対応いただきました。

代表取締役社長の黒河内勇雄さん

1 会社の歴史、概要などを教えて下さい

昭和40(1965)年3月、先代が創業し、同年12月1日に有限会社として法人成りし、平成11(1999)年2月11日に現組織である株式会社に変更しました。
平成14(2002)年6月に私、黒河内勇雄が代表取締役に就任し、現在に至ります。業績は、完
成工事高10億円前後で推移し、創業以来の健全経営を続けています。

創業当時から、土木、建設などの「総合建設業」と、道路の区画線、表示、道路標識設置などの「交通安全施設業」の2本柱で事業を展開してきました。「交通安全施設業」は上伊那でも数社しかなく、両立をしている企業は県下では当社だけです。一社で完結することで、重宝されてきました。
             
2 「長野県SDGs推進企業」認定はいつですか

(黒河内)
2021年10月に認定されました。建設業のトレンドがISOからSDGsに移り変わるなかで取り組んできました。SDGsについて調べてみると、今の取り組みの延長線上でできることだと感じたので、すぐに始めました。

3 SDGsに向けた経営方針は

(黒河内)
弊社の経営理念である「豊かな生活環境を創造し明日の地域社会に貢献する」は、SDGsの達成と目的は同じくするものです。
社員一人ひとりがそのことを自覚し、それぞれの役割を果たしていくことにより、SDGsの達成に貢献していきます。
言葉や文章にすると立派なことをしなければいけないようですが、「持続可能な〜」ということを考えると、出来ることから始め、そしてそれを継続することが大事だと思います。

4 重点的な取組みについてお伺いします

(1) 重点的な取組1

「各現場で排出される産業廃棄物のリサイクル率の拡大」
2030年に向けた指標:リサイクル率の30%UP

(伊藤)
建設業は、現場で排出される産業廃棄物のリサイクルが確率されており、ほぼすべてがリサイクルされています。建設業は環境に優しい業種です。そんな中で、目標に30%UPを掲げたのは、会社としてもっと努力しなければいけないし、業界全体での努力も必要だと思っているからです。
例えば、各現場ごとに産廃のリサイクルの帳票を提出しています。アスファルトくず、木くず、金属片など、種類や現場を項目別に細かく記載します。帳票(マニフェスト)は、辞典ほどの厚さにも及ぶもので、これだけでも骨が折れる作業ですが、弊社では年度ごとに産廃物をグラフ化して、リサイクル率がわかるようにしています。

(黒河内)
公共事業であれば、排出物は処理場で管理されていますが、民間事業は自社管理になっているので、その部分で努力のしがいがあります。

(2) 重点的な取組2

「完全週休2日制の導入、月毎の社員一人あたりの平均時間外労働時間45時間未満」
2030年に向けた指標
①令和6年度4週8休導入予定

(伊藤)
令和6年度より完全週休2日制の導入に向け、現在最終的な調整を行っています。「やっと」という感もあるかと思いますが、公共機関からの受注工事ですと工期が決められていますので、休んだ結果工事が間に合わないと大変なことになります。天候などの条件で現場が止まることもあるので、調整は難しい部分でした。稼働日数が減った分どう効率化するのか、また代休の仕組みを取り入れるなどの対策を考えています。

(黒河内)
生産性を落としたくないことを前提に、どうしていくか。講習会や講演会に顔を出して、より良い方法を模索してきました。

②毎月社員一人ひとり時間外労働時間のチェック、指導

(伊藤)
現場の仕事がメインである上に書類作成があるので、その部分で残業が発生しています。天候の状況によっては代休を取っていただき、実質の労働時間の短縮に努めています。

(黒河内)
45時間をいかに縮めるかを考えています。1人1台パソコンを設備し、資料作成の時間が削減できるような環境にしています。

(3) 重点的な取組3

「地元の業者を使った建材類・土木二次製品の購入」
2030年に向けた指標:地元率60%以上
(伊藤)
製品を価格だけで選ぶのではなく、安心安全な製品を購入することが大事だと思うので、顔が見える関係の地元の業者から購入するようにしています。地元に貢献させていただきたいという思いもあります。

5 重点的な取り組み以外でこれという取り組みがあったら教えて下さい

(伊藤)
まだSDGsを使いこなせている状況ではないので、これからさらに力を入れていきたいと思っています。例えば、LED照明ですが、現場事務所ではすでに使用していますが、事務所はこれから導入するために検討しています。また、機械の更新です。フォークリフトは弊社では一番古く、かなり年季が入っていますが、現役で活躍しています。燃料で駆動していますが、更新の際には電動のものを導入する検討をしています。なるべく環境にいいものを購入したいと思っています。

(黒河内)
会社がSDGsに取り組むことで、社員1人ひとりも関心を持ってくれています。世の中でもSDGsを耳にする機会も増えました。個人ができることから始め、継続することが大切だと思います。当たり前のことですが、節電をしたり、暖房を抑えたり、車のアイドリングをやめたり。重機も自社のものを最優先で使い、リースを抑えるようにしています。

6 ビジネス的なメリットを教えて下さい

(黒河内)
県の入札参加資格の申請においては、SDGsの推進企業に登録することにより評価をしていただけるようになりました。SDGsが当たり前の社会になっていく中で、会社を経営していく意味でも取り組むことが必須だと感じます。
すべての人々にとってより良い、より持続可能な未来を築くために、黒河内建設に何かできるかを考えなければなりません。SDGsの17項目はお互いに関連しています。私たちが出来ることを取り組むことにより、少しでも社会に貢献して、その結果将来の地球の環境改善や我々の生活に少しでも役立てばと思います。

<取材して印象に残ったこと>
事業的な側面だけでなく、地域貢献性が高い業種だということを教えて頂きました。陰ながら日常のインフラを「普通」にしてくださっている姿が印象的です。

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