宮田村で創業・開業した 先輩インタビュー

飲食・ゲストハウス・農業を営む EAT&JOY(いいあんじょい) 今堀千恵子さん

宮田村へ来て5年。今堀千恵子さんはご主人と一緒にリンゴの栽培をし、フリースペース&ゲストハウス「宿屋DOYA」の運営をし、ピザ屋「EAT&JOY」も経営しています。来年からは念願だったブドウ収穫も始まるのだとか。「自分がやりたいと思っていたら、その時期に入ればきっと手に入る」とずっと前を向いて歩んでいます。
 りんごの出荷でお忙しい折に時間をとっていただき、今に至るまでのこと、これからの夢について伺いました。

Q1.出荷を待つサンふじで一杯ですね。忙しい時にすみません
今堀 本当はこの場所は「宿屋DOYA」のスペースです。今は今年初めて出荷するりんごで一杯になってしまって。りんごは主に主人が栽培しています。サンふじにつがる、シナノスイート、シナノゴールド、秋映、王林など4反ほどつくっていて、今後1町歩まで増やす予定です。来年からぶどうの収穫が本格的に始まります。農家になったのは、そもそもぶどうをつくりたかったからです。8反の農地でシャインマスカット、ナガノパープル、クイーンルージュなどを育てます。苗を植えて4年、ようやく来年から収穫できます。
Q2.どうして宮田村で農業をすることになったのですか?
今堀 以前大阪にいた頃から、いつかは農業がしたいと思っていました。でも素人が参入するには農業は敷居が高く、まず農地が手に入らない。遊休農地があってもその土地に馴染みのない人間に土地を売ってくれません。「農地が欲しかったら、ここに家を買いなさい」と言う。でもそんな大枚はたけない。
 まずは都会を離れ移住しようとしていたところ、駒ヶ根の空き家バンクから手紙が来て、伊那谷を訪れてみると、伊那と駒ヶ根の間に宮田村というがあって家賃も安そうだから、役場にメールして来てみると、未来創造課の保科さんが「宮田村は農地貸せるよ」と言うんです。呆気にとられたというか、拍子抜けというか。3時間後には宮田への移住を決めました。
 この村に残れるよう、まずは地域おこし協力隊に自ら応募しました。村の人と仲良くなるにはイベントなどに出て行って顔を売るのが良いと考え、ピザの移動販売を始めました。夫はJAのインターンでりんご農家に弟子入りしました。
 こっちに来てから暮らしていた家が築54年の民家で寒すぎたので、住むところを探していたら、店舗付きの家が購入できピザ屋をやり、たまたま隣の八百屋さんをご好意で購入できることになり、ローンを申し込んだら、なんとすんなり通ってしまって。でもたくさん部屋がある広い建物なので、宿でもやろうかと主人と大工さんで直しました。「宿屋DOYA」は、全室個室のゲストハウス、プロジェクター設備のあるフリースペースを備え、研修や合宿展示会やイベントパーティなど幅広く活用してもらえます。
Q6.宮田村商工会はお役に立っていますか
今堀 年1回の商工業活性化補助金をはじめ、さまざまな補助金を紹介してもらい、活用しています。とても助かっています。また、専門家の先生から事業再構築に関するお話を伺えるなど、有益な情報も商工会に入っているおかげで入手できます。
Q7.ぶどうの栽培も本格化すれば、いよいよ夢が叶いますね
今堀 いえ、まだ道半ばです。私が行き着きたい先は、ここに「村」をつくることです。
 私たちがいた大阪には、独身で子どもがなく老後に不安をもつ人が大勢います。非正規雇用の仕事は収入も少なく、身分保障も十分じゃありません。皆「年をとったら大阪で暮らす自信がない」と言っています。そんな彼女たちに、「こっちで暮らさない?住まいも食事もあるよ。農園の仕事を手伝ってくれたらそれでいいよ」って声を掛けたいんです。これからぶどう収穫が始まり、りんご園も広くなると人手が要ります。果物の加工場もこれからつくりたいので、そこでも人を雇いたい。果樹の仕事が忙しくないときは、私もそうですけどスキー場などで働いてもいいんです。自分の将来に憂いなく、同世代の人が集まって暮らせる村のようなもの、そういうコミュニティをつくるのが、最終的な私の夢です。
Q9.起業や移住についてアドバイスを
今堀 やりたいことがまず先にあり、それをやりたいと思っていたら、時期がくればきっと手に入ります。そのうち転がるように向こうからやってきます。私自身、農地のことも住まいのこともそうでした。なるようにしかならないけれど、きっとやりたいと思いながら動いていたら手に入ります。
 移住については、もしこれまで都会に暮らしていたのなら、都会を引きずらないこと。都会がいつまでも背中に張り付いていると、田舎での暮らしは無理です。でも考えてみてください。宮田から東京へも名古屋へも大阪へも、車で2〜3時間で行けます。都会へ行きたくなったら、その時行けばいいんです。
 田舎は給料安いです。農業もたいてい儲かりません。物価は家賃も商品も田舎の方が高いくらいです。でも死にはしません。就職はしやすいし、便利な補助金もあります。大災害や戦争など有事には田舎の方が有利です。
 要は気楽にしないと。大丈夫。なるようになります。

EAT&JOY

〒399-4301長野県上伊那郡宮田村5769-1

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